「奇術師」の読み方

マルセイユタロット「奇術師」

LE・MAT

奇術師のカード

象徴

  • 始まり、創造性を表す「1」の番号が付けられたカード。
  • 奇術師の青年が、荒涼とした大地に立ち、何かを始めようとしている。
  • 彼は、左手にワンド(棒)を、右手にはコインを持ち、テーブルの上には彼が使う小道具が鞄から出されて並べられている。並べられた道具は、カップ、ナイフ(剣)、コイン、ダイス(サイコロ)などである。

象徴解説

  • 奇術師の道具は小アルカナの4つのスート(万物、世界を構成する4つの元素)に相当している。棒は火のエレメント(本能/生命力)。カップは水のエレメント(愛/感情)。剣は風のエレメント(知性/情報)。コインは地のエレメント(物質)。4つのエレメントを使いこなすことができれば、万物を創造する力となる。奇術師は、4つのエレメントを使う能力を持っている。
  • エレメントは、使いこなすことができなければ、ただの荷物でしかない。
  • サイコロの目の数の合計は、1+2+3+4+5+6=21で、大アルカナ21枚と一致し、彼が完成された世界を創造できる可能性を秘めていることを暗示している。しかし、サイコロは振って見なければ何の数字が出るのかわからない。可能性は未知数である。
  • 人々が行き交い賑わっている街角や劇場などではなく、荒涼とした大地で何かを始めようとしている奇術師は、彼自身のパフォーマンスで、これから人を集めなくてはならない。

元型

  • トリックスター
    トリックスターは、奇跡や魔術的な力を象徴する。
    変幻自在。道化を演じる。常識や秩序の枠に縛られず自由で無限の可能性を秘めている。変幻自在で善と悪の両面を持っている。既存の常識、規範、秩序、価値の破壊。新たな常識、規範、秩序、価値の創造。

    奇術、魔術で人を惑わす無法者。しかし、人々を感動させる英雄となる本質をも持ちあわせている。常識外れで型破りだが、英雄とは、そういう者の中から現れるものだ。遊び人。いたずら者。詐欺師。
  • アニムス/ロゴス
    アニムスは男性原理である。アニムスはロゴスである。ロゴスは言葉、意味、論理、判断、識別、洞察である。男性原理は自分から他へ働きかける力。能動的、主体的、論理的である。

    否定的なアニムスは、先入観や思い込みに囚われる。浅慮。非論理的。暴力的。

    奇術師は高度に発達したアニムスである。アニムスの4つの発達段階「1:力のアニムス」「2:行為のアニムス」「3:言葉のアニムス」「4:意味のアニムス」すべてのアニムスに影響を与える。

    アニムスは女性の心の奥にある無意識な男性的要素といわれている。しかし、現代社会において男性は、強い力と意思、行動力という自分の持つ男性原理を十分に発揮することができずに自分を押さえ込んで生きていかなくてはならないことがある。こうして抑圧された男性原理が男性の中にアニムスとして現れることもある。

    アニムスの発達段階の「1:力のアニムス」の元型が心の中に現れると、力強い男性に憧れるようになる。「2:行為のアニムス」では、決断力や行動力のある男性に憧れるようになる。「3:言葉のアニムス」では、理知的、論理的な男性に憧れるようになる。「4:意味のアニムス」では、高い精神性を持ち世界や自分に意味を与え人生を導いてくれる男性に憧れるようになる。

正の意味

  • 人を感動させることができるマジシャン。
  • 始まり、創造性。何かを始めるのに最良の時。新たなスタート。転機。変化が起こる。出会い。別れ。
  • 無限の可能性。実現。具体化。成功に必要な全てのものは揃っている。

負の意味

  • 様々な手段で人を騙したり誤魔化したりする詐欺師。
  • 中止。中断。失敗。無気力、無感動。良くない変化が起こる。良くない出会いや別れ。
  • 未熟。能力不足。努力が足りない。誤魔化す。騙す。

考察

  • 奇術師は、始まりを示すカード。良いカードである。
  • 奇術師は願望や構想を現実に変える力を持っている。現実化の道具を机の上に並べている。
  • 彼は、問題を解決したり、願望を叶えたりするために必要な能力や道具は、もう持っている。あとは始めるだけだ。始めなければ、能力も、道具も、持っていないのと変わらない。
  • 必要な道具は揃っている。さぁ、何を始めようか?
  • 荒野でパフォーマンスを始めた奇術師は、まだ始まりの段階であり、可能性の段階。成功するか失敗するかは、これからの彼次第だ。
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