「法王」の読み方

マルセイユタロット「法王」

LE・PAPE

法皇のカード

象徴

  • 精神的最高指導者の法王は頭に三重冠のティアラを載せている。その右手は祝福を与え、左手には三重十字を持っている。
  • 法王の背後には二本の柱が立っている。足元には二人の聖職者がひざまずき教えを求めている。

象徴解説

  • 法皇の持つ三重十字は、天(神界)・地(物質界)・人(人間界)を表し、三世界にその力が及ぶことを示している。法王は神と人の間に立ち、神の言葉を人へ伝える。
  • 右手の二本指を立てる仕草は、聖者が魔除け、祝福などをするときの姿で、霊的指導者であることを示している。
  • 二本の柱、二人の聖職者は、対立する二元性を象徴していて、法王は二元性を調停し均衡を保つ力を持っている。

元型

  • オールドワイズマン老賢者)/父親元型
    神(超意識=潜在意識)と人(顕在意識=エゴ(自我))の間を取り持つ者。人間の自我や能力を超越した存在の元型。

    法王は彼の前に跪く、ちっぽけな二人の聖職者にくらべて人間離れした大きさである。これは、彼の持つ神の力の大きさ(偉大なる父親=エゴ(自我)に対するセルフ(自己)の大きさ)を表している。

    精神的強さを教えてくれる、精神的成長を見守ってくれる父親のイメージ。

    オールドワイズマン(老賢者)は、自我を超越した絶対的叡智、勇気を持つ権威的な存在として心の中に表れてくる。内省、自己との対話の重要性を暗示している。
  • アニムス/ロゴス
    アニムスは男性原理である。アニムスはロゴスである。ロゴスは言葉、意味、論理、判断、識別、洞察である。男性原理は自分から他へ働きかける力。能動的、主体的、論理的である。

    否定的なアニムスは、先入観や思い込みに囚われる。浅慮。非論理的。暴力的。

    法王は高度なアニムスである。アニムスの4つの発達段階「1:力のアニムス」「2:行為のアニムス」「3:言葉のアニムス」「4:意味のアニムス」のうち、法王は「3:言葉のアニムス」「4:意味のアニムス」を象徴している。言葉は人の心を動かす。意味、意義は、新たな気付きを与える。

    アニムスは女性の心の奥にある無意識な男性的要素といわれている。しかし、現代社会において男性は、強い力と意思、行動力という自分の持つ男性原理を十分に発揮することができずに自分を押さえ込んで生きていかなくてはならないことがある。こうして抑圧された男性原理が男性の中にアニムスとして現れることもある。

    アニムスの発達段階の「3:言葉のアニムス」の元型が心の中に現れると、理知的、論理的な男性に憧れるようになる。「4:意味のアニムス」では、高い精神性を持ち世界や自分に意味を与え人生を導いてくれる男性に憧れるようになる。
  • 精神元型
    人間には現実的な欲望や衝動の世界から精神世界へ、霊的に成長したいという心(魂)の欲求があり、これは普遍的な元型的な心の働きと考えられる。

    精神元型は、霊的成長、魂の進化を求める一方、現世的な世界に対立し肉体的、本能的な欲望、情念などを否定する心の原理であり、精神元型が心の中に現れると精神世界の超越的な力による救いに囚われてしまい、現実的、物質的なものに対する否定的な考えに陥り、現実の世俗的なことを軽視したり蔑視したりするようになる危険がある。

正の意味

  • 教育。教養。良い導き、良い知識、良い助言や忠告が得られる。神託。
  • 精神的な成長、心の安定が得られる。不和の修正。
  • 神(宇宙的な意思/超意識)を信じること。自分(潜在意識/顕在意識)を信じること。相手を信じること。
  • 道徳的。倫理的。社会のルールを守る。良い制度。良い組織。
  • スプレッド内の悪い意味として出た他のカードを、祝福の力により浄化するカード。

負の意味

  • 道徳、倫理に反する。反社会性。決まりを守らない。
  • 迷信やカルトを信じる。現実逃避する。世俗的。享楽的。自暴自棄。物質的快楽。
  • 圧制。強要。不正。立場や権力を利用した行動。

考察

  • 「皇帝」は、物質世界の指導者で現実生活に強い影響を与えるカード。「法王」は、霊的な指導者で精神世界に強い影響を持つカードである。
  • 二元性とは、「優/劣」「善/悪」「成/否」「進/退」など、1つの事象の中で対立する2つの原理である。
ステンドグラス

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