「女帝」の読み方
マルセイユタロット「女帝」
L ' IMPERATRICE

象徴
- 王冠を冠り、ゆったりと落ち着いて座る女帝は、左手に宝珠(十字架付の球体)の付いた笏を持ち、右腕には鷲の紋章が描かれた盾を抱えている。
象徴解説
- 女帝の持つ笏に付いている宝珠は、球体が世界または宇宙、十字架が神性を表し、女帝の現実世界に対する影響力と、穢れの無い思考、公正な審判を象徴している。盾に描かれた鷲の紋章は、女帝の権力、支配力の象徴である。
- 女帝による正しい統治は、豊穣と繁栄をもたらす。
元型
- グレートマザー(太母)
グレートマザーは愛情と慈悲に満ちた「光」の面と、暗く神秘的で全てを呑み込んでしまう「深淵なる闇」の面がある。優しく慈愛に満ちる反面、高潔、冷徹であるが故に情欲を許さず冷酷無情となることもある。グレートマザーの元型は、世界各地に伝わる女神や魔女、妖精、龍などの形で表現されている。
グレートマザーの持つ母性は自然とも同義であり、母なる星、母なる大地、母なる自然というような言い回しは世界中で用いられている。大地の豊穣や生命の母胎といった大地母神を彷彿とする神話的な象徴でもあり、キリスト教における聖母マリアをはじめとした世界各地に見られる、処女懐胎物語の「聖処女」の元型の象徴でもある。 - アニマ/エロス
アニマは女性原理である。アニマはエロスである。エロスは慈愛、親密である。女性原理は他から動作、作用を受ける力。受動的、受容的。感情豊かで直観的である。
否定的なアニマは、感情的になる。猜疑心が強く嫉妬深い。執念深い。
アニマの4つの発達段階「1:肉体的なアニマ」「2:ロマンティックなアニマ」「3:霊性的なアニマ」「4:叡智的なアニマ」のうち、女帝は「1:肉体的なアニマ」「2:ロマンティックなアニマ」を象徴している。肉体的なアニマは性的対象としての女性、ロマンティックなアニマは、優しさ、感受性、慎ましさ、包容力などの女性の内面の魅力を示し、物質的な繁栄や豊穣を表している。
アニマは、男性の心の奥にある無意識な女性的要素といわれている。しかし、社会は男性的価値観によってロゴス原理が優先的であるため、女性が社会に進出した現代では、自分の中の女性原理を押さえ込んで生きていかなくてはならない女性も多く、こうして抑圧された女性原理のために女性の中にアニマが現れることもある。
男性の場合、アニマは潜在意識にアクセスするガイドとして現れることがある。アニマは恋人や娼婦、女神、魔女、妖精など様々な姿で現れる。
アニマの発達段階の「1:肉体的なアニマ」の元型が心の中に現れると、肉体だけの快楽を求めるようになる。「2:ロマンティックなアニマ」では、非現実的な幻想的、情緒的で甘美な恋愛を求めるようになる。
正の意味
- 物質的、経済的豊かさ。安定。満足。円満。優しさ。
- 現実的な考え。計画的。上昇。向上。
- ジャッジ(審判)する。あなたの決めたことは正しい。正しい思考、判断が成功へ導く。
- 保護。包容力。信頼、理解。
負の意味
- 贅沢。浪費。怠惰。薄情。冷淡。独占欲。
- 停滞。思考停止。
- 独善的。間違った判断。
- 過保護、過干渉。束縛。支配。
考察
- 女教皇が精神世界において最高の教育者であったのに対して、女帝は物質世界の権力者である。女教皇は神秘、女帝は現実を示している。潜在意識、精神世界の教育者である女教皇に対し、女帝は顕在意識、現実世界での実行力を表している。
