タロットカードでできること【前編】

タロットカードでできること

タロットカードは、占い以外にも様々な使い方ができます。その歴史を辿れば、魔術教材、魔術用具、護符などの魔術的応用、瞑想、内省、カウンセリングなどの心理学的応用、遊戯用、観賞用、コレクション用などのカードとして使用されてきたことがわかります。

ウェイト=スミス版タロット

占い

占術用カードとしての使い方は、占い師だけではなく一般にも広く知られていて、非常に高い信頼性を持ち、多くの人の悩みの解決や人生の指針のために使われています。

長い歴史の中で使われ続け、人類が生得的に共有している普遍的な潜在意識領域である普遍的無意識=超意識(神の領域とも言われる潜在意識の最深部。集合的無意識、高次の自己)の情報を探ることができるまでに洗練されてきました。タロットカードにより、古代から近代に至るまでに人類が知り得た叡智に触れることができます。

心理学的応用

信仰的、道徳的教育のテーマがあるタロットカードは、現代の心理学的テーマと共通する要素も数多くあり、無意識の領域に作用するので、心理療法の相談分野におけるひとつの形としても使用されています。

タロットカードの大アルカナは、ユング心理学で言う元型(アーキタイプ)と共通するところがあり、人の心の根源的な意味を持つカードです。元型とは、人が無意識の領域に共通して持っている心理的、精神的な情報です。また、心理学で使われる「集合的無意識」や「普遍的無意識」と呼ばれる概念は、超意識の一部として解釈できます。

小アルカナは、火、水、風、土、4つの元素や、生命、感情、知性、物質、4つの性質に対応する4つのスートを持ち、物質世界の事象を表し顕在意識や自我による現実的な理解を助けます。

タロットカウンセリング

「タロットリーディング」と「心理学」の関係を考察して心理相談に応用する技術に、「タロットカウンセリング」があります。

カウンセリングの目的は、プロフェッショナルな聞き手に自分自身を語ることによって、悩みや迷いなどの問題解決や心理的症状を緩和させることですが、タロットカウンセリングは、話を聞くだけではなく、タロットリーディングも用いて問題解決や症状の緩和を図ります。

カードの持つ心理学的象徴は相談者の心の領域(元型)を表し、言葉だけで表す表面的な気持よりも深い本音や潜在意識を引き出します。

タロットパスワーク

愚者の旅

「タロットパスワーク」は、技術的には誘導瞑想のカテゴリーに入ります。意識をカードの中へ入れて、カードの世界を体験する方法で、カードの中を意識で旅をする感覚になります。

タロットカードは顕在意識、潜在意識、超意識をリンクできるので、現在ある悩みや障害などの問題に対する回答を得ることや、自己との対話、意識の変容をもたらすこともできます。

潜在意識の洞察や超意識に気付くことで、未来に自分の取る行動がわり、スプレッドを使うことなく未来予知とも言える占術的効果を得ることもできます。人の意識の中で顕在意識の割合は、3~10%程度でしかないので、潜在意識に気付くことで人生の質が高くなることを想像できると思います。また、人類全体が生得的に持っている超意識と繋がることで、自分の人生の経験からだけでは導き出せない結論にたどり着くことも可能です。

パスワークとは、つまり、精神的成長、霊的成長の道(パス)を行く心的作業(ワーク)です。

ユダヤ民族に伝わる秘教の体系、カバラにおける生命の木には、宇宙創生の10の特質を表す10個のセフィラと、セフィラを繋ぐ22本の小径(パス)が示されています。カバラでは、この小径(パス)を目的に応じて巡る意識の旅を「パスワーク」として、行法が確立されています。生命の木は、宇宙万物の原理の図式だと言われ、人の精神の全諸相にも対応しているので、パスワークに最適なツールです。

そのような理由から「タロットパスワーク」は、生命の木22本の小径(パス)と22枚の大アルカナを対応させていることが多いのですが、タロットカードの本質を考えれば、必ずしも生命の木のパスとの対応が必要というわけではないことがわかります。タロットカードだけでもパスワークを実践することができます。 

機会がありましたら、タロットパスワークのやり方を紹介したいと思います。

※ 5月29日 追記

タロットパスワークのやり方を紹介しました。

タロットパスワークのやり方【1】
タロットパスワークのやり方【1】
タロットパスワークとはtarot-passwork タロットカードに描かれている寓意画に興味を持ち学んでいる人…
https://jsm-network.com/tarot-cards/how-to-do-tarot-pathwork-part1/

アクティブ・イマジネーション

正義の世界

アクティブ・イマジネーションは、ユング心理学、深層心理学の技法です。

無意識由来のイメージに自我でアクティブに対応していく方法で、「潜在意識が創造したバーチャル空間を顕在意識がリアルタイムで体験する」と言った感じです。

潜在意識は、自我(顕在意識)とは比べ物にならないほど広大な領域と、全く異なる可能性を秘めていますが、その力を利用するのがアクティブ・イマジネーションです。集合的無意識の領域までアクセスできれば、自分では見つけられない答えを、古代より蓄積されてきた人類の普遍的経験から導き出すことができるようになります。

タロットカードもアクティブ・イマジネーションも、精神的変容を目的に持つので、適切なカードをアクティブ・イマジネーションに使用するのは良い方法です。

タロットカードを使ったアクティブ・イマジネーションは、対象のカードを観察することによって無意識に(潜在意識下で)動き出すストーリー(イメージ)を相手に、自我(顕在意識)で対応していきます。イメージは自分(自我/顕在意識)で想像するのではなく、潜在意識の領域から、イメージ自身が自律性を持って現れます。

アクティブ・イマジネーションは、心理療法や心理カウンセリングの場で実施されていますが、個人で実践しようとする場合、ちょっとしたコツを掴まなくてはなりません。また、実施後の分析には、ユング心理学における元型論など相応の知識が必要となります。

機会がありましたら、元型論などを取り入れながら、アクティブ・イマジネーションのやり方を紹介したいと思います。

まとめ

タロットカードは、占い以外にも色々な使い方ができます。

今回は占い以外の使い方として、ユング心理学と出会い深化したタロットカードの解釈で、自分自身の持つ潜在的な可能性や潜在的な恐れを知って人生をより良く生きるためのアドバイスを得るための、心理学的な応用を紹介しました。

それぞれの詳しい実践方法については、機会があれば紹介したいと思っています。ご質問、ご感想などありましたら、クイック質問フォームまたは、お問い合わせフォームからお願いいたします。

次回「タロットカードでできること【後編】」では、魔術的応用や護符としての使い方、その他の使い方を解説していきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です